京都は東寺の近くの鋏鍛冶屋さんから、年始めに注文してあった鋏が出来上がったよ~っと
お電話頂きました。さっそく仕事終わりに寄ってきました。
こちらの鋏、切れ味はもちろんなんですがこの工夫された形状に鋏鍛冶職人としてのご主人の心意気を感じます。
いわゆる京都特有の植木鋏である”きりばし”なんですが、持ち手の形が特殊です。ひょうたん型にすることで
握りやすさと、刃先を下向きに作業するときに手から滑り落としにくくなっています。さらに上から見ると持ち手に
結構なひねりが加えてあって、そのままだとカシメにかなりの”遊び”ありますが、握り込むと刃がうまく擦りあって
切れ味が増します。挙げるときりがないほど他にもいろんな工夫がなされています。
そんな話を聞きながら、雑談をしてるといつもあっというまに時間が過ぎます。話好きなご主人で、包み隠さず
いろんな鋏鍛冶の裏話までおもしろおかしく話してくれます。今日も1時間半ほど話し込んで帰ってきました。
「そうそう、この前皇太子さんが使う鋏つくってんで!」
そういって見せていただいた鋏がこちら。
画像では判りにくいですが、刃先をあえて丸くしてありました。皇太子さんが怪我をされないようにとの配慮だそうです。
どの道の職人さんもそうですが、”その道のプロ”と話すのはほんまおもしろいです!
伝統はしっかりと継承しつつ、それにとらわれず新たな形を模索されている姿勢。それにご主人の人柄も含めて、ほんまええ鋏やと思います。